デジタルトランスフォーメーションの7つの事例をこちらの記事で紹介しています

要件定義の品質を左右する非機能要求で考える項目

要件定義の品質を左右する非機能要求で考える項目

プロジェクトファシリテーターのじゅんです。

私は、システム導入をする際に発注者であるユーザ企業と受注者であるベンダー企業の間に立って支援するプロジェクトを経験しています。その際に要件定義工程で双方の認識ズレを解消したり、ヌケモレを防ぐために使用したツールを紹介するとともに考慮すべき項目を説明します。

今回ご紹介する内容は、IPA(情報処理機構)と呼ばれる機関が公開している情報です。
IPA(情報処理機構)は、日本におけるIT国家戦略を技術面、人材面から支えるために設立された経済産業省所管の中期目標管理法人となる独立行政法人です。

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非機能要求はシステムの品質を大きく左右する

システム品質を左右する工程の中で大きな割合を占めるのは要件定義です。

出典:JISA 情報サービス産業における受託ソフトウェア開発実態アンケート調査 2005

こちらのグラフを見る通り、要件定義工程はシステム品質に大きな影響を与えます。

すれ違いがめちゃくちゃ多い非機能要求定義の会話

要件定義工程で話される非機能要求に関しては伝えるユーザ側と聞くベンダ側はお互いにどのように話を進めたり、話したりすればよいかがわからずに、曖昧な状態で工程を終了することが多く見受けられます。

ヌケ・モレ・ズレがあって、後になって「そうだったのか!?」と気づいて直すといったことが起きる場合があります。
最悪の場合は、システム障害が発生してから気づくというパターンです。

こうなってしまったら、システムを使うユーザ企業としてはたまったものではありません。
ぜひとも回避したい事象ではありますが、その回避の仕方がわからないということが問題となっています。

網羅的にチェックできるツールがあると便利ですよね!

前述のような問題を起こさないために、網羅的にチェックしてユーザ企業とベンダ企業で共通認識を持つために、IPAから提供されている非機能要求グレード2018というツールを使用することをお勧めしています。

これを使用することでシステム構築における非機能要求を詳細に決定して進めることができます。

システム構築の上流工程強化(非機能要求グレード) 非機能要求グレード2018
https://www.ipa.go.jp/sec/softwareengineering/std/ent03-b.html

非機能要求で決めるべき6大項目

非機能要求グレード2018はかなり詳細に書かれていて知識がある程度無いと読み解くのが難しいので、抑えておくポイントを本記事で紹介します。

まずは、非機能要求で抑えるべき6大項目です。
非機能要求の会話をする際は、この6項目に関してすり合わせをしなければなりません。

モデルシステムシートで対象のシステムがどれに該当するかをざっくり決める

非機能要求グレードにはモデルシステムという3つのタイプが用意されており、初めに対象のシステムがどのモデルシステムに近いかを決定するところから始まります。
このモデルシステムを決定することで、ざっくりではありますがこれから対象となるシステムがどの程度の非機能要求を必要とするのかがわかります。システム開発をする側(ベンダ側)からするとこの3つのモデルのどれに当てはまるかがわかっているだけでかなり嬉しいです。
上記の表だとざっくりしすぎているので、前述の非機能要求6大項目に当てはめて見てみると以下のようになります。

※:重要な資産とは、個人情報、センシティブ情報、換金性の高い情報などのように特に高いセキュリティが必要な情報資産のこと

対象のシステムがどのモデルシステムかわかったら細かな非機能要求を決定していきましょう

システム構築の上流工程強化(非機能要求グレード) 非機能要求グレード2018
https://www.ipa.go.jp/sec/softwareengineering/std/ent03-b.html

初期段階では、決定できかねる項目もあると思いますので、
先送りの項目がある場合は、あとで決めることができるようにマークを付けておきましょう。

詳細項目を初めの段階ですべて決定する必要はありませんが、
モデルシステムが決定しているだけでも認識ズレを少なくすることができます。

現在稼働中のシステムの棚卸しにも活用可能

不足している点に関してシステム強化をしましょう

無駄なコストをカットしましょう

例えば、開発環境であるにもかかわらず、24時間稼働や冗長化対応をしていて無駄なコストをかけている場合は、コストダウンを考えることができる。

クラウドを使う時もこれらの項目は考える必要がある

システム構築において、クラウドを使用するからと言って、非機能要求を考えなくて良いということではありません。

むしろ、自社保有でないクラウドコンピューティングを使用する際は、
よりシビアに非機能要求を考えなくてはなりません。
なぜなら、前述の6大項目に関して、クラウド運営事業者に委ねることになるため、
レベルを上げたり、調整したりといったことができない可能性があるためです。

極端なことを言うと、あなたがSaaSのシステムを使用している場合、
そのSaaSが丸1日サービス停止をしてしまったらあなたの業務が停止してしまうことになるのです。

それを許容するか否かに関しては、導入する前に良く考えておかなければなりません。
自社で利用するシステムに応じて、クラウドのタイプを選択する必要があります。

IaaS/PaaS/SaaSの違いに関してはこちらの記事で紹介していますので参考にしてください。

本日の提案|IPAの非機能要求グレードを活用しよう!

要件定義工程における非機能要求を決める時は、非機能要求グレードを活用してユーザ企業、ベンダ企業双方で認識ズレを無くしましょう。

既存システムの棚卸しを行う際に活用しても有効です。自社システムの最適化に活用可能です。

ユーザ企業においてクラウドを活用する際も非機能要求グレードを活用してクラウド事業者を選定しましょう。

非機能要求グレード2018

システム構築の上流工程強化(非機能要求グレード)
https://www.ipa.go.jp/sec/softwareengineering/std/ent03-b.html

モデルシステム比較表

投稿者プロフィール

じゅん
じゅんプロジェクトファシリテーター
フリーランスのITコンサルタント として、CIO代行サービスで多くの企業をサポートしています。
企業のIT戦略 立案・実行支援を行い、
ITを活用した情報システム の導入・マネジメント支援しています。
IT利活用 に関して気軽な相談から経営に関わる支援まで幅広く受け付けています。

普段私が仕事をする時にお客様やプロジェクトチームの方々に実際に話している内容をたくさんの方々に届けます。

DX(デジタルトランスフォーメーション)が好きすぎるので「DX王子」と呼ばれています。

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CTA-IMAGE 弊社代表はフリーランスとして大手SIer、国内外大手コンサルティング会社とのプロジェクトを多数行ってまいりました。現在、お答えできないほどの支援依頼が来ている状態です。 そこで、お客様のプロジェクト推進を支援していただくために協業パートナーを募集中です。 当社に依頼のある案件は、コンサル案件、PM/PMO案件が中心です。(一部ITエンジニアリング案件もあり) DX、システム導入、BPRなどさまざまな目的のプロジェクトを成功に導くために適切に管理し、推進していくためにPMOとして支援していただきます。 単にプロジェクトメンバになるだけでなく、プロジェクト推進の中心的存在になり自ら推進していただきます。

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