プロジェクトファシリテーターのじゅんです。
わたしはフリーランスとして10年以上システム開発プロジェクトや業務改善プロジェクト、社内統制プロジェクトなどさまざまなお仕事をさせていただいています。
その中で関わる人たちは、2人や10人の小規模なプロジェクトチームから、数百人の大規模プロジェクトチーム、数千人の従業員全員という規模までさまざまでした。多くの人たちと関わるとそれは多種多様な方々がいます。
そんな中で、ブレずに仕事をするというのは難しいものです。
その時に重要な軸となる考え方に「行動指針」があります。
私は、5つの行動指針に従って日々仕事に取り組んでいます。
全体を知りたい方は、以下の記事で紹介していますので、こちらをご覧ください
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4.多様性を認める|office Rootの行動指針
人間には、人種、国籍、性別、年齢、身体/知的/精神的障害の有無、信仰、価値観、ライフスタイルなど、さまざまな違いがあることを理解してそれを尊重する。
今日紹介するのは、わたしが仕事をする上で常に心の中に持っている5つの行動指針の中から、
「4.多様性を認める」に関することを書いてみようと思います。
『世界がもし100人の村だったら』という本をご存知でしょうか?
私が誰かに多様性の話をするとき、まず伝える物語があります。
それは、『世界がもし100人の村だったら(再話:池田香代子 対訳:C.ダグラス・ラミス/マガジンハウス)』という本です。
2001年に発売され、世界中で大反響を呼び大ブームとなったので、ご存じの方も多いでしょう。
私が初めて読んだのは10年以上前だったと思います。そのとき「はっ!」と驚いたり、違和感を持ったりすることもなく、非常にすんなり自分自身の中へ入ってきたのがとても印象的でした。
もし読んだことがなければ、ぜひ一度読むことをおすすめします。
本の紹介
あなたは100人の村の中でどこに属していましたか?|2023年現在の統計との違いは本質ではない
世界がもし100人の村だとしたら……
男女比は?大人と子どもは?異性愛者と同性愛者は?有色人種と白人は?
それぞれ何人いるのか。
全世界を100人の村にたとえて語られるこの物語は、アメリカの環境学者ドネラ・メドウズ氏の文章が元ネタといわれています。
それが、インターネット上で人から人へとチェーンメールのように世界中へ広まり、2001年、当時の人類統計比率を盛り込んで書籍化されました。
それから20年以上経った現在に置き換えると、本にある数字は若干変わるかもしれません。
しかし、私が伝えたいのは、数字の部分ではないのです。
私のもとには、日々、いろいろな企業から問合せが来ます。
そうした企業の方からお話を伺っていると、実によく耳にするのが「多様性」という言葉です。
例えば、
「Web系、インフラ系、アプリ系出身の多様性のある会社です」
「製造業、小売業、金融業など幅広い業界に対応した多様性のある企業です」
といったことです。
おそらく、当社の行動指針に「多様性」のキーワードが入っているから、そのようにお話しくださるのでしょう。
しかし、私の思う「多様性」は全く違います。
この『世界がもし100人の村だったら』の物語に登場する人たち、それがまさに私が表現する「多様性」なのです。
今、世界には80億の人たちがいます。
その中には、男性も女性もいれば、子どもも大人もいます。
大人の中には若者や高齢者もいます。
住んでいる場所や肌の色、話す言語、性的指向、宗教観、経済状況などもさまざまです。
つまり世界は、「自分」と「自分とは違う人たち」が集まってできている。
だからこそ、この世界で生きていくには、「自分とは違う人たち=多様性」を一人ひとりを理解し受け入れることがとても大切なのだと、この本を通してあらためて感じることができるのです。
これが、私が多様性の話をするときにこの本をご紹介する理由です。
自分の常識にとらわれない
ビジネスをしていくと、●●資格をもっている、●●億円の社長、●●研究の第一人者、という素晴らしい人達に多く出会います。
競争はとても良いことですが、競争ばかりが全てではありません。
ビジネスの成長のためには、投資が絶対必要だ!
他人を蹴落としてでも勝利を掴む!
自分が一番だ!
こーするのが当たり前だ!
同じ会社や業界にいると、このように当たり前になる部分が多くあります。
それ自体は、仕事をする上でとても良い面でもあります。
しかし、
私達がプロジェクトマネジメントを支援する際、プロジェクトの関係者、プロジェクトメンバーは、多種多様な人たちが集まって仕事をします。
自分たちの常識が全く通じないプロジェクトメンバと一緒に仕事をしなければならない。
そんなとき、
強制的に命令させて、従わせるよりも、相手や関係者を理解し、協働するほうがずっとスムーズに仕事が進むのです。
自分自身の常識にとらわれずに、相手を理解するようにしてみましょう。
office Rootの社名に込めた「Root」の意味
当社の名前は「office Root(オフィスルート)」といいます。
この社名は、さまざまな情報システムを扱い、さまざまなお客様と関わる当社が「ありたい姿」を表した「3つのRoot」が由来となっています。
▼office Rootの由来
officeRootの由来
3つのうち、多様性に触れているのが
「立場の違う様々なユーザーの事を考える立場になる=root user」です。
root user(ルートユーザー)とは、UNIX系のOSにおいてあらゆる資源にアクセス可能で、システムのすべての設定を変更できる権限を持つ、いわば「万能アカウント」のことです。
root userは、システムの要です。
一般ユーザーのみならず、管理者、運用者など、そのシステムに関わるさまざまな立場の人たちを理解し、その人たちが快適に行動できるよう設計、構築しなければなりません。
「企業のプロジェクト成功の要となるPMOを提供する」
私たちが行っているサービスもまた、root userと同じようにプロジェクトに関わるすべての方のことを考えながら取り組む必要があると考えています。
その際、「多様性を認める」姿勢が非常に役立つのです。
自分自身の価値観、自分の思う”当たり前”だけで物事を考えると、それだけで視野が狭くなります。
「これは多分こういうことだろう」といった思い込みも生まれやすくなるでしょう。
いくら熟考を重ねても、思いつく解決策や対策は自分の中にあることだけに限られてしまいます。
一方で、多くの価値観を知り、多様性を認識すると、
「もしかしたら、このユーザーはこんなことを考えているのかもしれない」というように、
視野は一気に広がり、多くのアイデアが浮かんでくるはずです。
さまざまな立場の人を理解するための「レンガ職人の話」
みなさんは、イソップ寓話『3人のレンガ職人』という話をご存じですか?
このお話について別の記事を書いているので気になる方はこちらもあわせてお読みください
▼3人のレンガ職人の話|その仕事の目的ってなに?自分の仕事の意味を改めて考える
ある旅人が3人のレンガ職人に出会い、それぞれに「何をしているのか?」と問う。すると、三人三様の仕事への姿勢が見えてきます。
【1人目】険しい顔でレンガを積む男
「レンガ積みに決まっているだろ」
・働くことに目的はなく、ただ言われたことだけことをやっている
・もっと楽な仕事をやりたいけど、しかたなく今の仕事をしている
【2人目】一生懸命レンガを積む男
「この仕事のおかげで俺は家族を養っていける」
生活費を稼ぐのが仕事の目的で、働けることに感謝している
自分の仕事に誇りを持っている
【3人目】活き活き楽しそうにレンガを積む男
「俺たちは、歴史に残る偉大な大聖堂を造っている」
後世に残る事業に加わり、世の中に貢献することが目的
<俺たち>という表現から、仕事をチームで取り組むものと捉えている
同じ仕事でも、目的意識がしっかりある人は高いモチベーションで働くことができる。
そのような教えのある物語ですが、私はここで決して「3人目のレンガ職人のようになろう!」と言いたいわけではないのです。
もちろんすべての人が、3人目のようになったら素晴らしい世界になるはずです。
しかし、現実にそんな世界は存在し得ません。
なぜなら世の中には、
1人目のレンガ職人のように
「仕事は言われたことだけこなしてお金をもらうもの」と割り切っている人もいれば、
2人目のレンガ職人のように
「現状に感謝し、与えられた仕事を精一杯責任持ってすること」と考えている人もいるからです。
どれも間違ってはいないと思います。
「自分には考えられないことだ!」「そんな働き方はおかしい!」など、
自分の価値観だけで物事をはかり、他人にもそれを押し付けてしまう方が問題だと思うのです。
社内、チーム内、コミュニティ内などで、一人ひとりが持っている力を発揮しながら、円滑にプロジェクトを進めていくためには、世の中に自分とは違う多種多様な価値観を持った人が存在することを認識し、認めることがとても重要だと私は考えます。
あなたが関わる仕事の関係者、最終的に利用するユーザーの顔が思い浮かびますか?
みなさんは、プロジェクトの進行やシステムの設計、構築をするとき、そこに関わるいろいろな人たちやユーザーについて、どれくらいイメージできていますか?
プロジェクトを進めるときに、「期限を切って、決まった時点までに成果物を完成させるように指示する」
もっとも簡単な方法です。
「いつ終わりますか?」
「どのくらいできてますか?」
こんな風に、機械的に割り振り、マネジメントしていくことはできますし、正しいことです。
しかし、
「このスケジュールで進めると、小さな子どもがいるAさんには負担がかかりそうだな」
「こういう設計は、海外ユーザーが使いづらいのでは?〇〇さんにお願いしたほうが自分で考えるより進みそうだな」
こんな風に考えながら、マネジメントをしてみたらどうでしょう?
結果そのものは変わりませんが、仕事のしやすさは全く違います。
長期的に考えると、チームのまとまり方はより強固になり、長期のプロジェクトになればなるほど、成功率はたかまります。
その人たちの性別や世代、職業のほか、ライフスタイルや趣味、困りごとなど、ぜひ自分の経験や思い込みを超えて、広い視野で思い浮かべてみてください。
そうすれば、さらに新しいアイデア、課題解決の方法が湧き出てくるでしょう。
ペルソナ設定は重要だが、できれば目の前の実在する人の話を聞き、顔を見て、どうなったら喜ぶかを考えてみましょう
マーケティングやシステム開発の現場では、「ペルソナ」と呼ばれる架空のモデルを設定して、施策を考えたり、UI/UXを考えたりします。
これ自体を否定するつもりはありません。仮説立案や全く何からやってよいかわからない場合や経験がない場合は、このような設定はとても役に立ちます。
私がおすすめしているのは、実際に実在する人を見つけることが最も良いと考えています。
・消費者向けのECサイトや店舗であれば、実際に買い物をしている友人に話を聞いてみる。(もし、そのような友人がいなければ自分自身や家族でも良いです)
・社内向けの基幹システムであれば、実際に利用するスタッフや関係者に話を聞いてみる。(部長や課長といった管理職も大事ですが、正社員、アルバイトなどの現場スタッフの声も大事です)
たくさんの人に話を聞けば、より多くの声を聞くことができます。
聞いただけではなく、あなたと違った価値観や考えが見えてくるはずです。
そんな時は、「なぜそう思ったのですか?」と純粋に聞いてみましょう。
その違いが、多様性であり、あなたが理解すべき事柄なのです。
本日の提案|自分の存在を理解し、視野を広げて多様性を認め、相手の立場に立って考えられるようにしてみましょう
・世界がもし100人の村だったらを読んで、自分がどこに位置づけられるのか把握してみましょう
・世の中には自分と違った価値観、考えを持つ人がいることを認識しましょう
・今関わっている仕事においても「多様性の理解」が加わることで、より良い展開が期待できることを想像してみましょう
5つの行動指針
全体に関しては、以下の記事で紹介していますので、全体を知りたい方はぜひこちらもご覧ください!
じゅんさん、あるいは当社に少しでも共感や「いいな」を持ってもらえたなら、一緒に仕事をしましょう!
随時メンバーも募集しています。
投稿者プロフィール
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フリーランスのITコンサルタント として、CIO代行サービスで多くの企業をサポートしています。
企業のIT戦略 立案・実行支援を行い、
ITを活用した情報システム の導入・マネジメント支援しています。
IT利活用 に関して気軽な相談から経営に関わる支援まで幅広く受け付けています。
普段私が仕事をする時にお客様やプロジェクトチームの方々に実際に話している内容をたくさんの方々に届けます。
DX(デジタルトランスフォーメーション)が好きすぎるので「DX王子」と呼ばれています。
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