先日(2019/07/17)、Dell Technologies Cloud Executive Summit 2019に参加いたしました。
そのときのセッション内容を紹介します。デジタルトランスフォーメーションの参考になれば嬉しいです。
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セッション概要|クラウド活用ステージに応じたIT人材戦略とは?
今こそ見直しの時! クラウド活用ステージに応じたIT人材戦略とは
パブリッククラウドの利用が前提の時代となり、マルチクラウド化が進むものの、人材やスキルに課題を抱え思うように進められない企業も多いのではないでしょうか。部分的なクラウド利用から、クラウドファースト、マルチクラウドに至るまでの各ステージの課題とIT人材戦略について提言いたします。日鉄ソリューションズ株式会社
Dell Technologies Cloud Executive Summit 2019 ~『変革』の真髄~ より
ITインフラソリューション事業本部 ITサービスエンジニアリング事業部 NSFITOS推進部
グループリーダー
西村 吉弘 氏
クラウド活用ステージを定義する
まずはクラウド活用をする前に自社の活用度がどの段階にあるのかを把握する必要がある。
日鉄ソリューションズでは、クラウド活用ステージを4つの段階に分けて定義している。
stage0:サイロ型
stage 1:仮装集約型
stage 2:IaaSレイヤーマルチクラウド型
stage 3:SaaS/PaaSレイヤーマルチクラウド型
ステージ0:サイロ型
組織:コントロールなし
人材:インフラ構築、運用メンバが少数いるだけで、IT企画の担当者はいない
IT:マシン室・データセンターでのオンプレミス運用が中心。クラウドの利用はない
ステージ1:仮想集約型
組織:社内のITが把握できている。ある程度ガバナンスが効いている
人材:インフラ面、運用面は社員+パートナー社員(派遣社員や協力会社)が担当。IT企画担当は1名いるかいないか
IT:一部クラウドの利用あり
ステージ2:IaaSレイヤーマルチクラウド型
組織:ガバナンスができている
人材:コア業務にシフトしてきており、インフラ面はパートナー社員が中心で運用面の業務が中心となっている。一部の業務をアウトソースしている。IT企画業務がチームとして存在している
IT:マルチクラウドを実施している
ステージ3:SaaS/PaaSレイヤーマルチクラウド型
組織:ガバナンスがとれていて、プラットフォームを最大限に活用している
人材:インフラ面、運用面をアウトソースしており、自社ではコア業務であるIT企画業務に専念している。情報システム部門は社内でITを活用するためのクラウドコーディネータ、コンシェルジュ業務が中心となっている
IT:SaaSやPaaSが中心で、グローバル対応ができている。
クラウド活用ステージを上げるための人材戦略
前述のステージ定義に従って、自社がどのステージにいるかを把握する。
その後、ステージを上げるための戦略を立てて実行していく。
ここでは参考事例も踏まえながら紹介していく。
ステージ0 → ステージ1へ
無駄を省く!
物理ハードウェアが多い
不要ハードウェアがたくさんある
自社マシンルームに無駄スペースがたくさんある
上記のようなステージ0の企業によくある無駄を把握して取り除くことが優先事項である。
ある企業ではシステムの現状把握を行った結果以下のような結果がでた。
30% 基幹システム
30% 主要システム
40% 実態不明システム
40%もある実態不明のシステムは、影響範囲も特定できないことから停止できない状態になっている。さらに、ライセンス費用などの運用費を払い続けている状態になっている。
このように無駄を省くだけで十分にコストダウンとリソース確保が可能である。
無理しているところは無いかを見る
インフラや運用の情報システム部門の品質とそれを維持するための労力のかけかたのバランスを確認する。
多くの場合は、情報システム部の人数に対して求められる品質が高すぎて疲弊している場合が多い。
ステージ0 → ステージ1へ 上がるための方法
その方法は、
人員を加える
である。簡単に人を加えられれば苦労はしないわけで、そのための戦略が必要である。その流れと注意ポイントは以下の通りである。
1.無駄を減らす
2.予算を確保する
3.パートナーを導入し社員の代替をさせる
4.属人化をなくしてパートナー社員に業務を引き渡す
5.期限を決めて業務を渡していく
ステージ1 → ステージ2へ|ノンコア業務からの解放
ステージ1からステージ2へステップアップするためには以下が必要である。
これらを実施することによってノンコア業務から開放される
1.ITガバナンスを整備してサービスメニュー化する
2.社内のシステムを把握するために調査を行いシステムを仕分けする
3.システムごとのアウトソースではなく、業務単位にアウトソースすることでコア業務にシフトする
ステージ2 → ステージ3へ|クラウドサービスの最大利用
ステージ2の企業はパブリッククラウドの使い分けができていると考えられる。
例えば以下のような使い分けをしているケースを考える。
A社:IaaS
B社:メールシステム
C社:IoT、AI、DX
ステージ3へ上げるために行うことは、これらの使い分け状況から社内でガイドラインを作成することである。
セキュリティやネットワーク、アカウント管理などの共通的な要素と
機械学習、DBなどの個別要素を分けて作成する。
そのガイドラインに合わせたアーキテクチャの導入をおこなう
この時、自社だけでなく、ITパートナーを活用して一緒に構築することが大事。(専門家をうまく使うこと)
そうすることで情報システム部門は社内での企画業務がメインの仕事となり、ITパートナーからの外部知見を得ながら社内のITコンシェルジュとしてクラウドを最大限活用できるようになっていく
どのステージを目指すべきかも考える必要がある
すべての企業がステージ3になることを目指すべきではない。自社に合ったステージを見極める必要がある。
参考までに多くの企業はステージ2を目指している。
セッションを聞いた感想
必ずしもステージをあげなければいけないというわけではないというところがポイントであると感じました。
ステージを上げる取り組みは重要ですが、ステージ3まで目指す必要がないというところもポイントです。
過剰投資、なんでもクラウド、になってはいけません。
それと、やはり人材戦略の大枠は、業務を整理して予算を確保してノンコア業務をアウトソースしてコア業務(IT企画業務)に集中していくというのが一つの成功パターンであることを改めて見ることができました。
加えて、ワンデイワークショップ(後述の資料参照)は何から手をつけて良いかわからない企業にとっては、良い機会になると感じました。とても良い取り組みだと思います。
サービス紹介|当日配布された資料
One Day ワークショップ
事例紹介
投稿者プロフィール
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フリーランスのITコンサルタント として、CIO代行サービスで多くの企業をサポートしています。
企業のIT戦略 立案・実行支援を行い、
ITを活用した情報システム の導入・マネジメント支援しています。
IT利活用 に関して気軽な相談から経営に関わる支援まで幅広く受け付けています。
普段私が仕事をする時にお客様やプロジェクトチームの方々に実際に話している内容をたくさんの方々に届けます。
DX(デジタルトランスフォーメーション)が好きすぎるので「DX王子」と呼ばれています。
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