先日(2019/07/17)、Dell Technologies Cloud Executive Summit 2019に参加いたしました。
そのときの基調講演を紹介します。デジタルトランスフォーメーションの参考になれば嬉しいです。
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基調講演内容|ANAのDNAは「チャレンジ」デジタル・デザイン・ラボが描く未来のエアライン〜イノベーションの育て方〜
10:10~11:00 基調講演
ANAのDNAは「チャレンジ」デジタル・デザイン・ラボが描く未来のエアライン〜イノベーションの育て方〜
ヘリコプター2機のベンチャー企業として創業し、数々のチャレンジを繰り返して成長してきたANAに、3年前に発足したイノベーション創出部隊、「デジタル・デザイン・ラボ」。ドローン、宇宙ビジネス、アバター、シェアリングエコノミーなど、社会の大きな注目を集めた数々のイノベーション創出プロジェクトの裏には、果たしてどのようなチャレンジ、苦労があったのでしょうか。デジタル・デザイン・ラボの津田佳明氏を迎え、事例を通じて未来のANAがどのようなエアラインになるのかを皆さんと想像しながら、イノベーションを育てる秘訣を共に考えます。
ANAホールディングス株式会社
Dell Technologies Cloud Executive Summit 2019 ~『変革』の真髄~ より
デジタル・デザイン・ラボ
チーフ・ディレクター 兼 アバター準備室長
津田 佳明 氏
1.ANAのDNAはチャレンジ
2.デジタルデザインラボの創設
3.エアラインから見た破壊的イノベーション
4.具体的な活動事例
5.おわりに
1.ANAのDNAはチャレンジ
![](https://i0.wp.com/blog.office-root.com/wp-content/uploads/2019/07/2019-07-22_23h26_48.png?resize=1100%2C609&ssl=1)
1952年日本ヘリコプター(NH)というヘリコプター2機、従業員16名のベンチャー企業として創業した。
現在は航空機300機、従業員43,000名の日本最大のエアラインになっている。
2016年にデジタルデザインラボを設立。常にチャレンジを続けてきた。
2.デジタルデザインラボの創設
新組織設立に関して、以下の4つの観点で説明していただいた
組織マネジメント
行動指針
テーマ選定
パートナー選定
組織マネジメント
![](https://i0.wp.com/blog.office-root.com/wp-content/uploads/2019/07/2019-07-24_23h23_36.png?fit=1024%2C566&ssl=1)
組織マネジメントはサポーター型マネジメントを採用し、ピラミッド型の
行動指針
1.懐は深く!門は広く!
入り口で否定しない
先入観を捨て去る
少数意見こそよく聴く
2.スピード重視!
分析しすぎない
時間と金をかけない
やってから判断する
3.失敗を容認する!
完ぺきを求めない
リスクテイクをする
できるとこだけやらない
4.真剣な遊び心で!
切羽詰まらない
ワクワク感を大切に
無駄と決めつけない
5.チームでアウトプット!
自分に固執しない
仲間の意見を受け入れる
対話で洞察を深める
活動テーマ選定における3つのルール
1.経営理念に沿った内容であること
安心と信頼を基礎に世界をつなぐ心の翼で夢にあふれる未来に貢献します
2.ANAグループの中で誰もやったことがないこと
既存事業の活動と重複しない/もっと先を見たワクワクするテーマを選定
3.情熱をもって取り組み続けられること
アイディア立案や企画にとどまらずローンチまで主体的にやる覚悟が必要
パートナー選定
全方位外交によって最適なパートナーを選定する
3.エアラインから見た破壊的イノベーション
そもそも破壊的イノベーションとはなにか?から始めた
それを考えるために合宿を行った。
その時に話し合われた内容は以下のようなことだったとのこと。
破壊的イノベーションによって輸送モードは進化してきた。
輸送の初めは、籠やイカダから始まった。
そして、馬車や車、船になり、「陸」「海」が充実して「空」の飛行機やジェット機が登場してきた。
では、
エアラインの破壊的イノベーションとなる存在は何か?
でてきた結果は
どこでもドア
だったそうです。
普通は笑って終わるところだが、ここを真剣に考えたそう。
実際にテレポーテーションの研究者に会いに行って会話をしたらしいです。
そこで、実現するには100年以上かかるが理論上はできるということを聞いたといいます。
どこでもドアでテレポーテーションが実現されるのは100年以上あとになってからということがわかったので、
次に行くことにしたそうです。
そこで出てきた考えが、
自分自身が移動しなくても、
自分自身の代わりに行動してくれる存在
だったそうです。
そう、
それがavatarという考え方だったらしいです。
4.デジタルデザインラボの具体的な活動事例
![](https://i1.wp.com/blog.office-root.com/wp-content/uploads/2019/07/2019-07-24_22h15_28.png?fit=1024%2C498&ssl=1)
前述のような破壊的イノベーションを考えるさまざまな活動を行っている中で代表的な事例を紹介していただきました。
それが、以下の4事例です。
LCC
ドローン
宇宙事業
アバター
LCC
日本で初めてのLCCを運行開始
ドローン
![](https://i0.wp.com/blog.office-root.com/wp-content/uploads/2019/07/2019-07-24_22h15_47.png?fit=1024%2C528&ssl=1)
ANAは航空業界で何をやっているか?
航空機の機体は、ボーイング社
運営ルールは、行政が作成している
管理システムは、HITACHIやNECが作っている
空港は、自社の所有物ではない
つまり、ANAはこれらを運営しているオペレーターであるといえる。
これらのことから、ドローンを活用した事業展開を進めている。
具体的な活動としては、日本無人機運行管理コンソーシアムに参加し、
社内外でドローンを活用して以下のような活動を行なっている
ツアーでの空撮動画提供
ゴルフのコース紹介動画の撮影
航空機整備点検作業への活用検証
「空飛ぶクルマ」官民協議会への参加
![](https://i1.wp.com/blog.office-root.com/wp-content/uploads/2019/07/2019-07-24_22h16_20.png?fit=1024%2C550&ssl=1)
経済産業省が提示しているドローンエアモビリティのロードマップ
![](https://i1.wp.com/blog.office-root.com/wp-content/uploads/2019/07/2019-07-24_22h16_04.png?fit=1024%2C475&ssl=1)
モノの輸送は2020年から有人地帯の目視街飛行の検証に入る
ヒトの輸送は有人走行の検証を行い、2020年には無人走行の検証
2030年には都市部での人の移動実用化を目指して進んでいる。
宇宙事業|ベンチャー投資・アイディアコンテスト
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有力宇宙ベンチャー企業への出資を行い、有人宇宙飛行や宇宙ゴミ除去事業を行なっている。
また、宇宙ビジネスコンテストにスポンサーとして入った。
その際にせっかくだから大会に参加しようという流れになり、参加したところグランプリを受賞したこということもあった
日本に宇宙港を開講してアジアにおける宇宙旅行ビジネスのハブを目指す活動にも参加している
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ジャンボジェット機を利用した人工衛星打ち上げを支援して日本に誘致した
![](https://i1.wp.com/blog.office-root.com/wp-content/uploads/2019/07/2019-07-24_22h16_57.png?fit=1024%2C615&ssl=1)
アバター
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![](https://i0.wp.com/blog.office-root.com/wp-content/uploads/2019/07/2019-07-24_22h17_21.png?fit=1024%2C517&ssl=1)
![](https://i0.wp.com/blog.office-root.com/wp-content/uploads/2019/07/2019-07-24_22h17_32.png?fit=1024%2C558&ssl=1)
目指すビジネスモデル avatar in
アバターの種類
![](https://i1.wp.com/blog.office-root.com/wp-content/uploads/2019/07/2019-07-24_22h17_42.png?fit=1024%2C614&ssl=1)
会場では①コミュニケーション型のデモンストレーションがおこなわれました。
PCのカメラやTVに映したビデオチャットと大きく違う点としては、移動ができて、存在感がだせることだという
これまでのビデオチャットだと打ち合わせの時に置いてけぼりを食うような感じがあり、存在感がでないことが多い
(会議の最後に「あっいたの?」みたいな感じ
この存在感があることで役立つ場面は多くあるとのこと
スタジアムや病院、デパートなどでの活用を想定しているとのこと。
さらには、移動が困難で水族館や美術館に足を運べない人へのサービスとしても有効であるという。
閉館後に館内でコミュニケーション型アバターを使って観覧させるのもよいとのことだった。
その他のプロジェクト事例
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![](https://i0.wp.com/blog.office-root.com/wp-content/uploads/2019/07/2019-07-24_22h18_07.png?fit=1024%2C528&ssl=1)
5.おわりのコメント|デジタルデザインラボのきっかけとなったエピソード
最後に津田さんよりデジタルデザインラボを発足したきっかけとなるエピソードを話していただいた。
現在デジタルデザインラボを運営しているが、
営業マンだった私がまさか今こんなことをしているというのは想像もできなかった。今振り返ってみるときっかけはささいなことだったような気がする。
2015年に経営企画部に所属している際にシリコンバレーに研修に行くはずだった社員が行けなくなって代わりに行くことになった。
行く前のシリコンバレーのイメージはライバル会社同士がしのぎを削ってギスギスした感じで仕事をしていると思っていた。しかし、行ってみると全く違っていてゆっくりとした空気感の中で仲良く仕事をしている世界があった。
研修の最後に参加者同士でコミットメントを発表する時間があった。
参加者のほとんどはビジネスを立ち上げるや世の中を変えるというような内容だったが、できないことを言うのが性に合わないので、私は「このシリコンバレーの空気感を持って帰ります」と言った。帰国後は、服装をポロシャツとチノパンで出社した。
役員会議で全員がスーツを着ている中、自分だけポロシャツとチノパンで参加した。
最初は「頭おかしくなったのか?」と言われたがじょじょにみんな慣れていって何も言わなくなった。そんな小さな出来事が会社を変えると言うきっかけを与えたかもしれない
と
おっしゃっていました。
また、加えて、普段から大切にしている3つの言葉も教えていただきました。
大切にしている3つの言葉
日本の大企業には、「黒船」を呼び込む「出島」が必要!
WiL伊佐山元CEO
「チャラ男」と「根回しオヤジ」のタッグこそ、企業イノベーションの源泉だ!
早稲田大学 入山章栄 准教授
イノベーションを起こせる人は幸せな人!
慶應義塾大学大学院 前野隆司 教授
コンセプトムービー
最後にANAが目指すコンセプトムービーが流されました。
動画の中には日常生活の中にアバターが溶け込んでいる様子が多く盛り込まれていました。動画が終わった後に話があったのですが、動画内では、アバターが形のない状態で表現されていました。
現在想像するのは、スマートフォンやヘッドセット、時計人形のようなロボットや機械といった形状を思い浮かべます。
しかし、これからアバターがどのような形になるかはわからないため、あえて表現をしていないということを解説してくれました。
コンセプトムービーの最後は
「Beyond All」
というキーメッセージで締めくくられていました。
経営理念である「世界をつなぐ」という部分とつながるということらしいです。
現在、全世界で飛行機を利用している人は全人口の6%くらいとのことです。
残りの94%は飛行機を様々な理由によって利用したことのない人、できない人であると表現していました。
この残りの94%の人たちに向けてANAは「世界をつなぐ」という想いを持っているというメッセージで締めくくっていました。
基調講演を聞いた感想
航空会社というだけの認識が強かった私はとてもワクワクしながら話を聞いてしまいました。
組織マネジメントや行動ししん、ルールづけ、破壊的イノベーションの定義など
運営する上で障壁となりそうなポイントをうまく統制し、自由な発想で行動できる環境が整えられているなと感じました。
このチームで仕事をしてみたい!と思うような組織づくりができていて素晴らしいと思います。
失敗を恐れないチャレンジを繰り返して外部と積極的に関わりながら領域を広げているのはまさにデジタルトランスフォーメーションだなと感じました。
![](https://i0.wp.com/blog.office-root.com/wp-content/uploads/2019/07/boeing-747-876097_1920.jpg?fit=1024%2C711&ssl=1)
投稿者プロフィール
![じゅん](https://i0.wp.com/blog.office-root.com/wp-content/uploads/2019/03/jun_illust2.png?resize=150%2C150&ssl=1)
- プロジェクトファシリテーター
-
フリーランスのITコンサルタント として、CIO代行サービスで多くの企業をサポートしています。
企業のIT戦略 立案・実行支援を行い、
ITを活用した情報システム の導入・マネジメント支援しています。
IT利活用 に関して気軽な相談から経営に関わる支援まで幅広く受け付けています。
普段私が仕事をする時にお客様やプロジェクトチームの方々に実際に話している内容をたくさんの方々に届けます。
DX(デジタルトランスフォーメーション)が好きすぎるので「DX王子」と呼ばれています。
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