デジタルトランスフォーメーションの7つの事例をこちらの記事で紹介しています

経済産業省「DXレポート」の読み解き方

経済産業省「DXレポート」の読み解き方

先日(2019/07/17)、Dell Technologies Cloud Executive Summit 2019に参加いたしました。
そのときのパネルディスカッション内容を紹介します。デジタルトランスフォーメーションの参考になれば嬉しいです。

私は経済産業省が提供しているDXレポートを以前から知っていましたので今回のパネルディスカッションはかなり楽しみにしていました。聞いた内容をまとめておきます。


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パネルディスカッション概要

12:40~13:30 パネルディスカッション
経産省「DXリポート」の読み解き方
~「2025年の崖」の真意と、“正しい危機感”の抱き方~
DXトレンドの進展とは裏腹に、多くの企業が有効な一歩を踏み出せずにいる中、2018年に発表された経済産業省「DXリポート」。ITプラットフォームを今の経営環境に即した仕組みに変えなければ、企業も国も多大な損失を被るといった「2025年の崖」問題は企業の注目を集め、多くの経営層があらためて危機感を抱くこととなりました。
ただ、「DX」という言葉は社会に浸透したものの、その解釈はいまだ人さまざま。中でも「新たな技術を導入すること」といった“技術に閉じた話”と誤解されている傾向もあるようです。では「DX」とは何を目指し、何をすることなのでしょう?
そして今起きている問題の本質とは、何なのでしょうか?――本セッションでは経済産業省をゲストに招き、DXリポートの正しい解釈を解説。“いたずらな危機感”を“正しい危機感”に変え、変革への推進力とするための視点を伝授します。

【パネリスト】
経済産業省
商務情報政策局 情報産業課 企画官
和泉 憲明 氏

Dell Technologies(EMCジャパン)
常務執行役員 システムズエンジニアリング統括本部長
飯塚 力哉

【モデレーター】
アイティメディア株式会社
プロフェッショナル・メディア事業本部 編集局 IT編集統括部 統括編集長
内野 宏信

Dell Technologies Cloud Executive Summit 2019 ~『変革』の真髄~  より

DXトレンドとは何か?

経済産業省の 和泉さんの発言

DX=AI、IoTでしょ!
と短絡的にとらえるのはNG

マクロ的な視点で見ると
IT成長は、米国で6%、中国で15%となっている。
日本は1%で国際的に見るとかなり低い水準である。

ミクロ的な視点で見ると
米国や中国は新しい産業、ビジネス、価値提供に対してIT投資を行っているのに比べて、
日本は、効率化・コストダウンがメインとなっていて、IT投資の80%が既存システムの維持・管理に費やしているのが現状である。

DX(デジタルトランスフォーメーション)で言葉遊びをするつもりはない!

DXレポートのポイントは

ゴールは事業の競争力を確保することである。
ということ。

システムをコンバージョンしたり、クラウドに載せ替えたりすることがDXではない。
さらに、レガシーシステムを刷新することもDXではない。
もちろん競争力をつけるためにこれらのことが必要であれば実施する価値はあるが、ゴールは事業の競争力をつけることであることを忘れてはならない。

IT投資の判断を経営者はしっかりやっているか?

企業成長の妨げになっているのであればITに投資してシステムの刷新が必要だと判断する。つまり、経営判断の一つの要素として扱うべき。

また、情報システム部門が経営層に話す場面においてもITコストが高いからリプレースしませんか?
という会話をしているのではレベルが低い。
事業にどのように結びついて今後の事業展開にどのように影響するかを提示して経営判断をできる要素をもって会話することが大事

経営者は
「AI、IoTを使って何かやれ!」
「AI、IoTを使って何か変えられないか?」
と言っていないだろうか?
これを受けた社員は
「何をしたらいいの?」
と感じる。
そうなると全くうまくいかない。

経営者はAI、IoTによってどういう事業を生み出すかを考えなければいけない。

DXにおいて人に求められるもの

ITの人は事業内容が分からず、
事業部門の人はITがわからない。
という現象が起きており、
これまではウォーターフォール型の開発手法でIT部門から事業部門へのヒアリングによって要件定義した後、数年をかけてシステム導入を行なっていた。

しかし、現実としては要件定義においては決められないことがあったり、リリース時点では当時と違った要件が求められることが多くなり、スピード感のズレがでてきた。

そこで、アジャイル手法のようにスピードをもって事業を作るということが重要になってきた。
その際は、技術的な知識もあり、ビジネスに精通し、ITの知見もあるという三位一体の人材が求められる

DXは新規ビジネスを創造することだが、どういうビジネスを作ったら良いか?

航空機の事例
旅行会社に

アラスカ航空の事例

ゲート待ちのときに食べ物をスマートフォンで注文できる。
機内に着席したら注文した食べ物を席まで持ってきてくれるサービスを始めた。

これによって何のメリットがあるかというと、飛行機の機体を軽くするだけで機内に積む設備の費用をなくすことができる。
さらに、機体を軽くすることによって燃費を抑えることができる。
そして、お客様目線からすると食べたいもののメニューが増えて好きな料理を食べることができる。
という良い点が多く存在することとなった。

サービスを向上しようとして、ハードウェアへの投資を積極的に行うのではなく、
ハードウェアへの投資をなくしてソフトウェアへの投資に振り分けてこのような仕組みを作った。

さらにアラスカ航空では、
機内のWifi利用を無料にして、機内でのタブレット端末の利用をOKにした。
そして座席についているTV画面をすべて廃止した。
お客様は席につくと自分の荷物からタブレット端末を取り出して、好きな映画を見るというのです。
これによって純粋にTV画面分の重量が減ることになります。
座席のTV画面で映画を見て、お客様のカバンにタブレットが入っていて飛行機全体の重量が重くなるよりも、
座席のTVを廃止してお客様が持っている端末を使うことで飛行機全体の重量を減らすことに繋がっている。
さらに、お客様は好きな映画を見ることができるという状態を作り上げた。

重要なのは発想の転換と組み合わせ!

事業プロセスをアジャイルで作る

デジタルトランスフォーメーションの話をすると事例は海外のものばかりが取り上げられる。
よく言われている企業特性として、IT人工の所属比率があげられる。
米国はIT人材が事業会社側に所属しており、自社で完結できるのに比べ、
日本では、SIerと呼ばれるIT企業に所属しているため基本的には外注という形になってしまう。

では既存事業や従来型企業はどうすればよいか?

ユーザー企業は積極的に内製化を進めてIT人材が人材高めて行く必要がある
企業内で事業とシステムを理解する力を強化していき、
自らが事業とシステムを可視化して取捨選択ができるような状態にするべきである。

デジタルトランスフォーメーションに対応できるシステムはスピードが大事。
それには事業とシステムを整理して理解できる力が前提条件となっている。

流れとしてはこうだ。

1.現在のシステムを可視化して、仕分けをする
2.既存システムのコストを圧縮する
(残す、刷新する、廃棄するという選択を経営が行う。外部に任せるのはおかしい)

SoR領域のシステムをどう扱うか?

既存システムを止めずに移行するというのはどの企業でも話題に上がる内容。
実態はリスク面を考慮して半年~1年をかけて移行すると思う。

この時、障害が起きたり、止まったりしてしまったときの責任をIT部門に落とすのはダメ!
情報システムの刷新は、事業の刷新と同等のことと認識し、経営判断するべきである。
事業と同じように考えるのであれば、経営に悪影響を及ぼしているのであれば、
一時的であっても停止して移行するという判断も時には重要になってくると考えられる。

IT人材はどうあるべきか

どんどんルーチンワークから開放されてくる。
この次の話として、IT技術者の仕事がなくなってしまうのではないか?という話題が上がってくる。
そうはならずに、より頭をつかう業務にシフトしてくるようになる。
それはルーチン業務を理解しているからこそできることである。

IT人材は今後減少していくため自社だけで対応するのは難しくなってきている。
今まで付き合ってこなかった人たち(異業種)との関わり方が重要になってくる。

イノベーションを起こすには?

既存のものを足し算するほうが効率が良い

和菓子と洋菓子を組み合わせて、あんぱん
和食と洋食を組み合わせて、カレーうどん

というような具合だ。
ITはあくまでツールであり、事業価値を生み出すために使うべきである。

デジタルトランスフォーメーションでは
事業を起点に考えてイノベーションを起こす
進める上で不足しているところは他で補うという考えが重要になってくる。

パネルディスカッションを聞いての感想

一貫して言っていたのは、
新しい事業を生み出して新しい価値提供をする
という点でした。

そのために既存システムの効率化が必要であれば実施するという考えが重要という感じでした。

ユーザー企業のあるべき姿としては、事業とITを理解できる人材を育て、
自社の判断でシステムを可視化、仕分けできるようにしていくとのことです。
そして、システムを内製化してアジャイル型で新規事業をどんどん生み出していけるようなサイクルを確立することとのことでした。
その中で自社に足りない知識や技術などは他社の力をかりて補いながら進めていくというのが基本的な流れです。

経済産業省から提示されているDXレポートを作成されたかたから直接話しを聞くことができて、
これからお客様にお話する際により説得力のある会話ができると感じました。

デジタルトランスフォーメーションという言葉だけが先行し、言葉遊びではなく、
実際に企業の役に立つような取り組みにするためにより多くの企業のお手伝いを引き続きやっていこうと感じました。

投稿者プロフィール

じゅん
じゅんプロジェクトファシリテーター
フリーランスのITコンサルタント として、CIO代行サービスで多くの企業をサポートしています。
企業のIT戦略 立案・実行支援を行い、
ITを活用した情報システム の導入・マネジメント支援しています。
IT利活用 に関して気軽な相談から経営に関わる支援まで幅広く受け付けています。

普段私が仕事をする時にお客様やプロジェクトチームの方々に実際に話している内容をたくさんの方々に届けます。

DX(デジタルトランスフォーメーション)が好きすぎるので「DX王子」と呼ばれています。

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